5.対人恐怖症、社交不安障害(3)




対人恐怖のうち、男性恐怖は随分と弱まった僕ですが、女性恐怖はまだまだ強かったのでした。しかし、ある転機から、僕の女性恐怖は少しずつ弱まっていきました。ここでは、対人恐怖、社交不安障害の治療と克服の中の、女性恐怖の克服の話をしていきたいと思います。



メール
 新聞配達を始めて、お金が手に入った僕は、パソコンを買って、ネットをするようになりました。ネットサーフィンをするようになって、いろんなことを知りましたね。とても楽しかったです♪ そのうち僕はメル友という関係があることを知りました。それを知り、僕もメル友が欲しくなったので、メル友を募集していた人にメールを送ってみました。

 女性恐怖の僕だったのですが、女性にメールを送ってみたんです。女性に恐怖しながらも、だからといって、女性が嫌いでもないんですね。むしろ、女性と話したい願望があったから、なんとか文字だけならば、話せるんじゃないかと思って、メールをしてみました。そしたら、なんとお返事があったんですよ! それから、その人との会話が始まりました。

 僕はその人といろんな話をしました。自分のことをいろいろと話しましたね。過去に女性にいじめられたこと。それ以来、女性が苦手なこと。よって、女性と付き合ったことが生まれて一度もないことなど。僕がコンプレックスに思っていたことを、いろいろと話しました。嫌われることを覚悟で全部話したんです。でも、その人は僕を嫌わず、全て受け入れてくれました。

 その人はとてもいい人です。僕が変なことを言うと叱ってくれるし、いいことをすれば褒めてもくれる、僕のことを思って、話してくれる、とても優しい人でした。時に厳しかったりもしましたけど(笑)。僕は、そんなその人と話すことで、生まれて始めて、女性にもいい人がいるんだと実感するのでした。実際に会ったわけじゃないけれども、女性に対するイメージがメールによって、少し好転していったのでした。

 それまでの僕は、女性にいじめられた経験から、世の中の全ての女性は僕を嫌いになるとかいう、不条理な思考を無意識的に持っていたように思います。しかし、このメル友さんに出会ったことで、メールでとはいえ、信頼できる女性を一人知ることができました。それによって、僕の不条理な思考は打ち壊され、世の中には悪い女性もいるが、いい女性もいるんだという、ごくごく当たり前の正常な思考を手に入れることが出来たのです。この結果、僕の女性恐怖は少し和らぎました。











「話しませんか?」開設
 メル友さんと2年ほど話していた僕ですが、彼女がサイトを開設したんですね。そんな彼女に影響を受けて、僕も自分のサイトを持ちたくなりました。そして、テーマを考えてみたのですが、僕の場合、メンタル系サイトがいいだろうということで、そうしました。

 自分の経験を他の人と共有してもらって、今、病気で苦しんでいる人に参考にしてもらおうと思ったんですね。と同時に、訪問してくれる人の相談にも乗れたらいいなあと思ってサイトを開設したんです。

 サイト開設後、それなりの反響があり、掲示板には毎日、いろんな人からの投稿がありました。その中には当然、女性もいました。僕は緊張しながらも、常連さんになってくれた女性の方達と会話をしていきました。女性達と話すことで、ネット上で女性と話すことに、だんだんと抵抗がなくなっていく僕なのでした。

 それまでは、前述の女性のメル友さんとしか話せなかったこの僕だったのですが、ネット上ではありますが、信頼できる女性がどんどんと増えていき、その結果、女性に対するイメージが飛躍的に向上しました。と、僕の内面だけは、必ずしも女性に無条件に嫌われるということはないということを、経験的に知ることが出来て、女性恐怖が弱まっていくのでした。

 そのうち、ある一通のメールが届きます。それは、僕のサイトを見てくれて、僕と話してくれていた女性からのものでした。そして、そのメールはなんと驚くことに、僕に対する告白のメールだったのです。僕もその人に、恋愛感情を抱いていたので、彼女と僕はメールで付き合うことに決めたのでした。このサイトを開設したことで、こうして僕の運命は著しく変わっていったのでした。










初めての恋人
 彼女は、僕の内面を受け入れてくれました。と、同時に、メールに僕の顔写真を添付して送ったんですね。僕は自分が醜いと思っていたのですが、そんな僕の顔までも彼女は受け入れてくれました。彼女は僕の外面も内面も受け入れ、そして好きだと言ってくれたのです。僕はそれがとても嬉しかったです。生まれて初めて、女性に受け入れられたのですから。そして、僕達は実際に会うことになりました。

 初めて会ったのは名古屋でした。彼女に会うためならば、それまで乗ることすら出来なかった、電車にも乗ることができたのでした。そして、実際に会った僕を彼女は受け入れてくれました。僕はとても幸せでしたよ(^-^)

 僕達は名古屋で観光をしながら、お互いのことを話しました。デートなんてしたことのない僕は、ほとんどのことを彼女に任せっぱなしでした(笑)。今、思えば、申し訳ないことをしたなあと思いますけども、当時の僕には、会うだけでも精一杯だったんですよね。彼女にいっぱい優しくしてもらい、僕は彼女を信頼し、より好きになっていくのでした。

 その後も何度か会いました。関東に住んでいる彼女に会うために、僕はそれまで乗ったことのない新幹線にまで、勇気を出して乗れるようになっていました。まだまだ対人恐怖があって、あまり外に出られない僕でしたが、それでも彼女と一緒ならば、なんとか外を歩けたのでした。彼女がいてくれたから、怖かった人混みの中にも入っていけました。そのような経験が、少しずつ僕を対人恐怖から解放していってくれたのでした。

 しかし、それでも僕の対人恐怖は根深いものでした。もう対人恐怖もだいぶよくなったから、大丈夫だろうと、彼女に励まされながら、自動車学校に通い始めたのですが、どうしても怖くて通えなかったのでした。そして、結局は退学してしまいました。情けない話です。また、彼女と一緒に暮らすために、関東に引っ越したりもしましたが、どうしても仕事が出来ず、すぐに帰ってきてしまいました。

 そうこうするうちに1年近く付き合った彼女との別れがきました。僕は生まれて初めてのこの経験に、酷く打ちのめされました。喪失感があまりに酷くて、一時は死まで考えました。そんな感情を、このサイトの日記に綴っていたところ、ある女性から、僕を心配してくれたメールが着たのでした。










二人目の恋人
 僕のことを心配してくれた女性と携帯のメールで、毎日話していました。そのうち、お互い惹かれあった僕達は付き合うことになりました。遠距離恋愛でしたが、この彼女は前の彼女よりもさらに、僕を受け入れてくれる方でした。僕はこの彼女のおかげで、より女性を信頼できるようになっていきました。

 一緒にいろんなところに出掛けました。彼女の住んでいる場所に行ったり、僕の住んでいるところに来てもらったり、一緒にいろんなところに遊びに行ったりもしました。彼女と一緒ならば、どんなところにも行けました。彼女との付き合いの中で、いろんなところに出掛けることで、僕の対人恐怖はどんどんとよくなっていきました。

 そして、ある時、僕はバイクの免許が欲しいと思い立ち、教習所へ通うことにしました。しかし、対人恐怖恐るべし! 僕の対人恐怖は女性と付き合えるまでに軽くなってはいても、教習所へ通えるほどまではよくなっていないのでした。また会社に勤めようと就職したりもしましたが、一日しか通えずに、辞めてしまったのでした。

 そんな僕だったのですが、彼女と付き合っていくうちに、どんどんと女性への恐怖はなくなり、他の女性と話すことも出来るようになっていきました。最初の彼女と二人目の彼女の二人に受け入れてもらい、愛し愛された僕は、女性への恐怖感がもう、ほぼ完全になくなったのでした。

 しかし、それでも、まだ自動車学校に通ったり、就職して働き続けることが出来るほどには、対人恐怖はよくなっていない僕なのでした。それなので、僕はとうとう精神科の門を叩くことになったのでした。それまでにも、何度も行こう行こうと思っていたのですが、精神科の先生も人間ですから、怖くて行けなかったんですね。

 しかし、新聞店の店長との出会い、二人の恋人との出会い、このサイトで話してくれた人たちとの出会いが、僕の対人恐怖を病院へ行けるまでには和らげてくれていたのでした。


薬物療法
 精神科の門を叩いた僕は、緊張しながらも、先生に自分の対人恐怖の症状について話しました。その結果、不安を和らげる薬を処方してくれました。「これでよくなると思うよ」ということでしたが、半信半疑な僕なのでした(笑)。しかし、その後、自分でも驚くことが起きました。僕は歯医者が怖くて行けなかったのですが、歯医者に行くことが出来るようになったのでした。

 また、自動車学校に通えなかったのですが、入学して、ストレートで簡単に卒業することも出来てしまいました。薬を飲むまでは通うことすらできなかったのに、薬を飲むことで、通うことも簡単に出来るようになり、なおかつ卒業して免許を手に入れることまで出来たのです。

 そして、その後、就職します。就職してもそれまでは、一日で辞めてしまっていた僕が、半年以上勤めることができたのでした。僕がうつ病でなかったら、きっと定年まで勤めることが出来たことでしょう。精神科で処方された薬で、僕はここまで変わることができたのです。対人恐怖がもうすっかりと治ってしまいました。

 2006年現在の僕は、男性も女性も大好きで、話好きな、対人恐怖とは全く無縁な人間になりました。偶然、電車で隣に座った人とも、病院の待合室にいる人とも、配達中に出会う人達とも、男女問わず、平気で話せるようになりましたし、どんな店にも、どんな学校にも、どんな職場にも行くことができるようになりました。もはや、対人恐怖は完治したと言っていいでしょう。

 対人恐怖の時で外に出られない時は自力で行動範囲を広げていき、実際に人と出会い、関係を築いていくことで、対人恐怖を和らげていき、病院に行ける程度まで和らいだら、病院で薬物療法を受けて、治ることができたのが、僕の対人恐怖の完治までの道のりだったのです。






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