強迫神経症(強迫性障害)について





強迫観念


 自分の意志に関係なく、同じ観念が何度も頭に思い浮かぶことです。止めようとしても止められないために、苦痛を感じますし、集中力の妨げにもなって、日常生活を円滑に送るのが困難になる場合があります。この強迫観念強迫行為が伴う方もいますが、強迫観念のみの方もいるようです。強迫観念の具体例を以下に記します。



汚れてしまったのではないか。

自分や他人を傷つけてしまうのではないか。

事件、事故を自分が起こしてしまったのではないか。

鍵をちゃんとかけられたか。

ガスの元栓をしっかりと締められたか。

馬鹿げたことを自分がしてしまうのではないか。

恥ずかしいことをしていまうのではないか。

神仏に不敬なことをしてしまうのではないか。

自分が性的逸脱行為をしてしまうのではないか。

きちんと整頓できていないのではないか。

自分が何か病気にかかっているのではないか。


 このような観念が何度も自分の意思に反して浮かび上がってきます。止めようとしても止められません。上記のもの以外にも数多くの強迫観念が報告されています。











強迫行為


 同じ行為を何度も繰り返すことによって、主に強迫観念を打ち消すために行われます。具体例を以下に示します。


洗浄強迫


 汚れを恐れ、汚れるか、汚れたような気がした場合に、何度も何度も手を洗います。恐れる対象の汚れは、大小便、細菌、その他一般的に汚いと思われるものです。また、実際にはそれほど汚いものではなくても、当人が汚いと思い込んでいる、あらゆる物も恐れる対象に含まれます。そして、それらに触れたか、触れたと思った時に「汚れてしまった」という強迫観念に苛まれ、それを打ち消すために手などを洗います。

 洗う回数は人によって、一日に何十回、何百回にもなります。洗う時間も人それぞれですが、どれだけ洗ってもなかなか綺麗になったとは思えない人(確認強迫に悩まされている人とか)の場合は、一度一度の手洗いが長時間に及ぶことになります。また、汚れを恐れる対象が、ドアノブとかテレビのリモコンなどの日常的に触れる機会が多い物である場合が多いので、日常生活が円滑に行えなくなり、とても苦しい思いをします。



反復強迫


 強迫観念に苛まれた時。強迫観念から逃れるために、その人特有の行動を一定回数繰り返すことです。


確認強迫


 窓をちゃんと閉められたか。ガス栓をちゃんと閉められたか。ちゃんと鍵をかけることが出来たか。などなどを繰り返し確認します。ガス栓を何度もガチャチャと締めてみたり、窓を閉められたかを、窓を何度も開けようとして開かないことを確認したりします。多い場合、百回数百回と繰り返します。また巻き込み型と呼ばれる方の場合、家族や身近な人に確認をお願いしたりもします。自分では不安でも他の人の目は不思議と信じられる場合があるからです。


整頓強迫


 例えば、机に置いてある物が、自分の基準できれいにきっちりと整頓されているかが気になり、何度も何度も整理整頓します。あまりに厳密で仕事や勉強が手につかなくなることがあります。その場合、治療対象になるようです。











治療について


 専門家の治療を受けることです。精神科や心療内科で診察を受けてみましょう。以下に、治療法について簡単にまとめておきます。また治療法を紹介しているサイトを、以下に紹介しておきます。強迫神経症(強迫性障害)に効果的だと言われている行動療法を紹介しているサイトです。また森田療法などの精神療法も効果的なようですので、関連のサイトを調べるなり受診するなりするのも宜しいかと思います。


行動療法


 欧米での強迫性障害(強迫神経症)の治療実績により、日本でも注目されてきた治療法です。ネットでも紹介され始め、関連書籍も出版され、徐々に患者側にも認知度が増してきました。以下に強迫性障害治療に用いられる行動療法の治療法の簡単な紹介をしておきます。


フラッディング法

 医師などの治療者が、患者を強い不安や恐怖を惹き起こす場面に、いきなり直面させることで、不安感や状況に対する認識に変化を起こすとともに、結果的に強迫観念、強迫行為に変化を起こさせる治療法です。

モデリング法

 医師などの治療者が、患者が不安や恐怖を感じる行動を実演して患者に見せることで、患者がその行動に感じる不安感や恐怖感を軽減させると同時に、認知の変容も図る治療法です。そして、治療者と同じ行動をさせることで患者の強迫行動を軽減させます。

系統的脱感作法

 自律訓練法や筋弛緩訓練法などにより、筋緊張の反応を軽減させるることで、不安感や恐怖感をも弱めます。そこから、不安や恐怖を惹き起こす場面を弱いものから強いものへ記した表(不安階層表)を作り、その表の弱い刺激からイメージしていくことによって徐々に不安や恐怖を弱めていくことで、強迫行為を減少させていく治療法です。

曝露−反応妨害法

 上述したとおりです。患者を計画的意図的に強い不安や恐怖に曝して(曝露、直面)、それを解消するための強迫行為や儀式行為を行わせない(反応妨害もしくは反応防止)ままにさせることで、強迫観念と強迫行為、儀式行為を行わないようになっていくことを意図した治療法です。長時間、不安感、不快感、恐怖感を強迫行為をせずに放置することによって、これらの感情に慣れていき、徐々に苦しみが減少していきます。

 この時間は長いほど効果的で、たとえば三十分間の反応妨害を2回行うよりは、一度の曝露に一時間の反応妨害の方が効果的だと言われています。また恐怖、もしくは不安は患者にとって一番強烈なものに曝露させるのが、最も効果的なようです。つまりは、患者にとって一番恐怖や不安を巻き起こす行動をしてもらい、不安感や恐怖感に慣れてそれが消え去るまで直面し続けるのが最も効果的だというわけです。

 しかし、それが効果的だからといって、実際、そのようにしたら、患者はあまりの辛さに治療が出来ない状態になってしまいます。とてもじゃありませんが、それは耐えられない恐怖であり不安であるからです。

 なので、耐えられる恐怖や不安の中の最も大きいものに曝露させ、強迫行為を行わせないようにさせて、恐怖や不安が消えてなくなるまで待つのが、いいようです。そして、これが出来たら、より強い恐怖や不安にチャレンジしていくことになります。こうして、段階的に治療していくことが一般的なようです。

 ちなみに医師と共に行うのが効果的なのは当然ですが、医師に指示された通りに、自宅で自分の意志で行う方が効果的なようです。医師の指示に従って行うようにしましょう。


思考停止法(強迫行為を伴わない強迫観念を治療)

 まず、強迫観念が自然に浮かんだ時。もしくは意識的に強迫観念と同じ内容のことを心に思い浮かべます。次に、その強迫観念を中断させるために、患者自身が、様々な事を行う治療法です。強迫観念の最中に叫んだり、大きな音をたてたりすることで、強迫観念をストップさせます。

 また、強迫観念に苛まれている最中に、別の嫌なことを考えることにしたり、自分に物理的な痛みを与えることで、強迫観念の発生=痛みという条件付けを行います。嫌なことや、痛みは回避したいものでしょうから、痛みを回避するために強迫観念が減少するかもしれないという期待をもってする治療法のようです。ちなみに効果的だという報告は少ないそうですが、全くないわけでもないようで、やってみる価値はありそうです。


エクスポージャー(曝露)(強迫行為を伴わない強迫観念を治療)

 患者が苦しみ悩まされている強迫観念の内容について意図的に出来るだけ多く考える。また、その内容を意図的に声に出すことを繰り返す。というのが、強迫観念を治療するために、不安や恐怖に直面(もしくは曝露)することで慣れることを期待する治療法です。




その他の精神療法

 支持的精神療法、森田療法、精神分析療法などがあります。治療例もあるようですので、関心がある場合はネットや書籍で調べてみたり、実際にこれらの治療を受けてみることを、おすすめします。




薬物療法

 ごく少数ではあるそうですが、薬物療法のみで治った例もあるようです。ですが、やはりほかの精神療法、行動療法と併用することで効果をあげているようです。薬についての説明は医師にお聞きするか、書籍で調べてみてください。それが一番です(^-^)




 紹介した治療法以外にも、多くの治療法が存在します。医師などの治療者はあなたの症状に有効な治療法でもって、治療をしてくださいますので、医師の診察やカウンセリングを受けてみることをおすすめします。もしも自分が強迫神経症(強迫性障害)の症例と同じようなことをしていて、日常生活を円滑に送るのが困難になっていたら、自分だけで解決しようと思わないで、勇気を出して受診してみましょう(^-^)




参考になるリンク集


原井宏明の情報公開
現役医師のサイトです。強迫性障害について、ネット上で参照できる情報としては、比較的詳しい情報が記載されていて、とても有用なサイトです。彼のように行動療法に取り組む方が今後増えていけば、強迫性障害の治療もよりよいものになっていくことでしょう。



強迫性障害に打ち勝つ
強迫性障害の治療法としては、様々なものがありますけども、その有効性によって近年日本でも注目されている行動療法について詳しく紹介されている、さりりさんのサイトです。



こだわりすぎる仲間達
医療法人の強迫性障害のサイト。とてもシンプルなサイトです。トップページの言葉が強迫性障害の人達に安心感を与えることでしょう。



 病院を調べる際は、保健所や精神保健福祉センター等であなたにあった病院を紹介してもらうか、病院が運営しているWebサイトで調べてみることをお勧めします。それぞれの連絡先を調べる際は、当サイトの「相談機関の種類と連絡先」をご活用ください。そこから、連絡先が掲載されているサイトへ容易に移動することができますので、今後はそちらを活用して調べることが可能になります。




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