1.潔癖症(1)・・・潔癖症のようなもの


ここでは、不潔恐怖洗浄強迫の二つを併せて「潔癖症」と呼び、話を進めています。というのも、中学生当時の僕は、強迫神経症(強迫性障害)についての知識は一切なく、自分の状態を潔癖症と呼んでいたからであり、当時の回想を書く以上、それはやはり、当時の認識に沿った形で文章に書き記したかったからです。そして、同時に、このような無知な子供でも、自分の力で治すことが出来るということもまた、示したかったからです。



潔癖症って?

 潔癖症ってなに? そう聞かれても私は困ります。私は専門家ではないからです。そもそも潔癖症だったのかどうか。ただ私の潔癖症。私がかかった「潔癖症のようなもの」についてなら、説明は充分に可能です。それはこのようなものでした。

1)実際に汚いかどうかに関係なく、私が汚いと思いこんでいる物に、
  手が触れることを忌み嫌うこと。

2)上記1のような物に触れ、手が汚れてしまったと感じたら、
  洗わないと気がすまないこと。もしくは、一切触れなくなること。

私は一時期このような状態で生活していました。
それでは1から説明していきます。


 まず1ですが、誰でも自分が汚いと思っている物には触りたくないと思います。そして、汚いと思っている物は本当に汚い物のようですね。また本当に汚い物というのは、普段の生活でそうそう触れることはありません。ですから、普段の生活で手を洗ってばかりいるということはないように思います。

 私の場合は違いました。もちろん汚いと思う物に手を触れて、手を洗うのは他の人たちとまったく同じなのです。ですが、他の人たちとは違い、私が汚いと思う物というのは、本当に汚い物も含みますが、本当には汚くない物をも含んでいました。それはたとえば、ドアのノブ、冷蔵庫のドアの取っ手、テレビのボタン、リモコン、その他諸々の日常的に触れる物のほとんどの物で、それらの物が自分が汚いと思っているものだったのです。そしてそれに触れるのが嫌だと思っていました。


 次に2です。この汚いと思う物に触れると、洗わないと気がすまなくなってしまいます。たとえば、テレビのチャンネルを変えますよね? その時にリモコンを使って変えるわけです。でも、リモコンは汚い物。リモコンに触った私の手は汚れてしまったわけです。こうなると手を洗わずにはいられません! このようにテレビのチャンネルを変えるだけでも手を洗うことになります。万事がこんな調子なのです。

 しかも私にとって日常的に触れる物のほとんどが汚いものだったので、毎日数十回も手を洗うはめになりました。しかもついてないことに、手をどれだけ洗っても、「きれいになった」という確信が全くもてないのです。だから洗う時間もずいぶん長くなってしまいます。数十回洗うだけで大変なのに、1回1回の時間も長いわけです。私の日常生活は手洗いに明け暮れることになります。

 また、これはどうしようもなく汚い!と思う物には手を触れられなくなります。たとえば、ドアノブに一切触れられなくなりましたし、冷蔵庫の取っ手にも触れられません。リモコンに触れられなくなったこともあります。リモコンは1年あまり使えなくなりました。なぜ触れないのかと言えば、どうしようもなく汚いと思う物に触れた場合、触れたこと自体が嫌なのと同時に、触れたあとの手洗いを避けたいという気持ちが強いからだったと記憶しています。

 以上のように、身の回りの物のほとんどを汚いと思い、それに触れたら手を洗わずにはいられない。1日数十回、しかも1回が長時間の手洗いを繰り返す。これが私の症状です。そしてこの症状のために、日常生活が正常、円滑に行えなくなってしまいました。







|1.潔癖症(2)|1.潔癖症(3)|1.潔癖症(4)|強迫神経症について|ホーム|